24: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:38:09.30 ID:GTk52CSjo
様々な色のコンサートライトと、アイドルたちの歌声とが、会場を鮮やかな色に染め上げていく。
その光景は、彼女のモノクロだった世界をも塗り替えていくようであった。
気がつけば彼女は受け取ったキャンディを両手で持っていた。
体の正面で、優しくぎゅっと握るように。
25: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:38:49.91 ID:GTk52CSjo
その楽曲の名前は『GO MY WAY!!』。
背中を押されたような不思議な感覚だった。
26: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:39:52.50 ID:GTk52CSjo
====3. "チケット"====
公演が終わり、劇場の客席は先ほどまでとの熱気が嘘のように静まり返っている。
客席側の照明はほとんど落とされ、舞台の上も簡素なオレンジ色の照明だけがつけられていた。
27: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:41:04.93 ID:GTk52CSjo
ガチャリとドアが開く音が聞こえた。
階段状になっている舞台の段の部分に腰掛けていた彼女は、それを待っていたかのように、ゆっくりとその方向を向いた。
「プロデューサー。」
28: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:42:52.58 ID:GTk52CSjo
「プロデューサー。」
「はい。」
29: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:44:00.22 ID:GTk52CSjo
「大丈夫です。」
彼は迷いのない声で、すぐに答えた。
30: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:55:00.58 ID:GTk52CSjo
「気にすることはなにもありません。大事なのは自分の『心』だと思います。」
「確かに今あなたがしようとしている決断は、決して簡単なものではないでしょう。」
「ですが、」
31: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:55:27.54 ID:GTk52CSjo
「そこに夢があるのなら。アイドルでなければ見えない、そんな景色を見てみたいと思うのなら。」
「一歩、前へ踏み出してみませんか?」
そう言って彼は、彼女に右手を差し出した。
32: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:56:28.59 ID:GTk52CSjo
彼女はゆっくりと目を閉じた。
そこでは、彼女はとあるステージに立っていた。
ここよりももっと大きなところだ。
33: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:58:31.78 ID:GTk52CSjo
彼女はゆっくりと瞼をあげた。
彼女が今立っている場所はまだ観客のいない舞台の上。
その足元には舞台の立ち位置を表す印がつけられていた。
34: ◆q5RWMTtiKKUe
2017/06/12(月) 22:59:09.89 ID:GTk52CSjo
「プロデューサー、私を・・・」
彼女自身が囚われていた籠はもう何処にもない。
彼女の手が動き出す。
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