ミミ「あと少しね」
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6:名無しNIPPER[sage]
2017/06/11(日) 14:14:34.95 ID:6ZN736J50
 いつも通り寝覚めは最悪だ。何度こんな夢を見ただろうか。トトリと別れてから、見るのはトトリに関する夢ばかりだ。

 こんな時が来るのを想像しなかった訳じゃない、いつまでも一緒にはいられない。思っていたよりも少し早くその時が来ただけだ。もうよそう。私はただ歩いて、歩いて、依頼の魔物を狩ればいいんだ。

 背嚢に荷物を積み洞穴の外に出ると、忌々しい寒気が私を襲う。構わず足を前に進めることだけを考えろ。一人でやるんだ。

 ざくざく。ざくざく。

 トトリはロロナさんの師匠に多大な恩がある。ロロナさんが不在の今、アールズへの派遣を断ることは出来なかった。そう理屈では分かっていても、未練たらしくトトリのことを引きずっている自分が嫌になる。トトリは自分よりも仕事を選んだ。トトリは自分を捨てたんだ。

 そんなくだらない考えが浮かんでくる。雪を踏みしめる感触と音、寒さだけを感じながら、灰と白だけの代わり映えしない風景を延々歩き続けているせいだろう。そうに違いない。

 私はこんなに弱かっただろうか。お母様が死んでしまってから、ずっと一人でやってきたはずだ。トトリに出会ってからだ。私の中で彼女の存在はどうしようもなく大きくなってしまっている。


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