5: ◆Rj0X.392Pk
2017/06/10(土) 15:02:35.21 ID:KpRYTezd0
どう話そうかと彼女は迷った。
目に焼き付いた光景を言えばいいのか、事故のあらましを伝えるべきか。
結局答えは出ず、思いつくままに説明することを選んだ。
「ランニング中に交通事故を目撃したんです。まだ小学生くらいの男の子と軽自動車の衝突事故でした」
「……そうだったのか」
ここで彼はようやく彼女の悩みを知る。
いつものような元気がない原因もはっきりとそこにあった。
「足がひどい怪我でしたけど、あの男の子は意識がありました。たぶん命に別状はないと思います」
それならば彼女はなぜこんなに落ち込んでいるのか。
目の前で起きた事故とはいえ、他人のことでなぜこうも悲しい顔をしているのか。
「私、語りかけることしかできませんでした。部活のマネージャーをやってて応急処置だったり、非常時の講習だって受けたことがあるんです。
……でも頭が真っ白になって何もできませんでした」
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