87:名無しNIPPER[saga]
2017/06/14(水) 17:33:26.95 ID:VqWHRdm5O
浜松で降りて、もらった地図を確認した。次は、バスに乗らないと。
途中、曜ちゃんっぽい服装の人がいて、よく考えたら制服だから違うかと思い直した。
似ている人がいると、少しどきりとしてしまう。
そもそも、先に出たのだから、いるわけもないのだけれど。
沼津よりもビルや人が多い。
制服のせいかな。こちらをちらちらと見る人もいる。
早い所、曜ちゃんを見つけないと、補導されたら面倒ね。
医科大学行きのバスを探して乗り込んだ。
知らない土地でも、曜ちゃんが同じように向かったのだと思うとあまり不安はなかった。
「あずきもちみなみ……?」
降りたバス停の名前。
美味しそうね。
バス停で、もう一人、おばあさんが降りて来て。
一緒の方向に歩き始めた。
同じ信号で止まって同じ路地を進み、同じ商店街を歩いていく。
見たこともない風景に忙しく目を動かしていたら、いつの間にか、おばあさんの隣に並んでいた。
進む速さを変えることもないかと思い知らぬ顔をしていたら、
「あなた、どこから来たの?」
と柔らかい表情で尋ねられた。
人見知りが発動したので、少し面食らって、一回深呼吸をしてから、
「ぬ、沼津です」
「そお、それは遠い所御苦労様」
にこりと笑う。
反射的に、私も微笑み返した。
きっと、私がキョロキョロしていたので、気遣って話しかけてくれたのかも。
「私もね、ちょっと遠くから来たの」
「そうなんですか」
「孫にね、会いに来たの」
「お孫さんに……」
「この先の施設に居るんだけど、前はあなたと同じ沼津の高校だったのよ」
小さいリュックを背負っていた。
それをポンポンと叩く。
「ちらし寿司が好きでね、いっつも美味しそうに食べてくれるの」
しわを寄せて、嬉しそうに話す。
この先にある施設で、高校生なら、もしかしたらこのおばあさんのお孫さんも、何か問題を起こしたのかもしれない。
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