19:名無しNIPPER[saga]
2017/06/08(木) 15:20:07.34 ID:l5/QKUUT0
一通り見終わった頃に、夕飯も出来上がって、準備を手伝った。
曜ちゃんに用意されていたのはハンバーグで、明らかに嬉しそうな顔は写真に納めてもいいくらいだった。
お刺身も美味しくて、頬が落ちそうになるくらい。
そこには、普通の食卓が広がっていた。
それは、恐らく意図的なことだったと思う。
私がいるから、明るく振舞っていたというのは多少あったはずで。
夕飯後に、曜ちゃんがお手洗いで席を外した時、
「今日は、あの子自然に笑ってた。ありがとう」
と、言ってくれた。
前まで、私の中で、曜ちゃんは追いかける存在だった。
掴みどころのない、海原のような人だった。
その笑顔が欲しくて、たまらなかった。
私に触れて欲しくて、私の事を考えて欲しくて。
私の事を好きになって欲しかったし、千歌ちゃんの事ばかりになるのも嫌だった。
止めどなく溢れる欲望があった。
今は、どうだろう。
事件のせいもある。
関わったことで、曜ちゃんに寄せていた気持ちが、以前とは異なってきていて、それをはっきりと感じ取れるようになっていた。
壊してしまわないように、悲しませないように、笑わせてあげたくなる。
私は、曜ちゃんの支えになりたい。
強がってばかりのあの子の本音を聞いてしまったあの時から、それはきっと芽生えていたように思う。
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