52: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/23(金) 01:25:03.30 ID:nE0G2m1V0
『あ、うん、だよな。ごめ……はぁ!?えぇっ!!?うそっ、嘘だろ…!!?なぁ、今の』
アタシのそんな気持ちなんて全く知らなかったとばかりに驚くPに対しての怒りか、勢いで大音量での愛の告白をしてしまった事に対する照れのどっちのせいかは分からないけど、アタシは顔を真っ赤にしながら畳み掛けるように攻撃を続ける。
「なに驚いてんの!?ありえない、ほんっとサイテーだよ!!男として好きじゃないならPが帰ってきてすぐ玄関にすっ飛んでったりしないし、寒い中ニコニコしながら手を繋いで毎朝そこまで見送りに行ったりしない!何より結婚なんてする訳ないでしょ!!」
『…あの』
「ねぇ、優しいからって何!?優しいから仕方なく嫌々Pと付き合ったと思ってるの!?アタシだって女なんだからその辺は弁えてるよ!バカにしてんの!!?」
『う……あ……』
Pが掠れた声で言葉にならない言葉を呟いたが、今のアタシの耳には入らない。入れる必要もない。
「………それに…それにっ…!」
行き場を失ったマグマは、アタシを攻め苛んだ。
「アタシがこの数日間、どんな気持ちだったか…アタシがどんなにPの事が好きで、大切に思ってるか…知らないくせに…!うっ…う…んふっ…すんっ……』
大好きな彼に気持ちを知って貰えず、そんなふうに思われていた悲しみ。
Pはそんな事当然と思い込んで気持ちを伝える努力をしようとせずにずっとPに不安な思いをさせてしまっていたアタシの怠慢に対する怒り。
あまりに鈍感なPへの怒り。
それらがそれぞれ鮮明に、決して混じり融け合うことなく、アタシの中でぐるぐると渦巻いていた。
キスだって、その先だって。
通じ合えてると思ってた。けど、Pにそう思わせてたのはアタシ自身で。
やるせなかった。アタシはそれを、ただPに八つ当たりした。
最低。
こんなに自分以外の誰かになりたいと思ったのは初めてだった。
でもどんなに願っても、アタシはアタシでしかない。
…だったら。
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