32:名無しNIPPER[sage]
2017/05/29(月) 19:53:07.59 ID:hMmfh9+Mo
「メシ」
「ぴー」
が、まゆは与えられた食事よりも毛糸の方に夢中だった。
なぜか振られた乙女の如きセンチな感情が沸き起こる。あ、泣きそう。
「めーしーだーぞー」
「ぴぃ」
しかし強情へそ曲がり。
まゆは俺様特製の卵焼きを一瞥すると、
持っていた長さ数センチの毛糸をケージの鉄柵に結び出した。
たちまち生まれる赤い蝶々。
結び目の強さを確認すると、まゆが一仕事終えたかのように額を拭う。
「ぴぃ〜♪」
……なるほど、どうやらケージの飾りらしい。
洒落っ気が出たか、おしゃまさんめ。
「玉子、冷めないうちに食べるんだぞ」
「ぴぴぃ!」
返事は良い。俺も自分の食べる分を作るため、台所へともそもそ帰る。
その日のうちにまゆケージには、無数の赤い蝶が舞った。
……若干不気味ではあるが、本人が気に入っているので良しとしよう。
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