33:名無しNIPPER[sage]
2017/05/30(火) 17:40:30.60 ID:Bv1bX58Wo
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毛糸玉はまゆの大変お気に召したようで。
いや、なによりその行動範囲を劇的なまでに広くしたようで。
「ぴーさん、ぴーさん」
朝、まゆは俺を起こしてくれるようになった。
以前はケージの中に入ったまま、俺が鍵を開けてやるまで外には出て来れなかったと言うのにだ。
「……お前、また鍵を開けたな」
「ぴー?」
俺は寝起きのぼたっとした意識の中、「さぁ、なんのことでしょう?」なんて顔で白々しく微笑むまゆに言う。
まゆは糸を巧みに操り、ケージの内側から鍵を開く術を会得した。
が、この程度のことでは驚かない。
世には自ら扉を開け閉めするお利口なワンちゃんニャンちゃんが居るほどだ。
このぐらいの芸当、まゆに出来てもさもあらん。
むしろ問題なのはその次で、まゆはテーブルからも降りる術を体得した。
ケージの鉄柵に固く毛糸を結んだら、台から垂らしてえんやこら。
棒滑りの要領で少しずつ降りて来るその姿の危なっかしいやら愛らしいやら……。
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