38:名無しNIPPER[saga]
2017/05/28(日) 17:45:40.38 ID:InKgyXIS0
バスには、先ほど見たカップルも乗っていた。
「ねえ、梨子ちゃん」
私は小声で耳打ちする。
それに気づいて、梨子ちゃんも小声で聞き返す。
「どうしたの」
「あの二人恋人岬行くんじゃない」
美男美女のお似合いな二人。
「うん、私もそんな気がする」
しばらく後ろからカップルを眺めていると、急に彼女の方が彼氏の首筋に息を吹きかけていたずらし始めた。
彼氏さんが可愛らしい悲鳴をあげていて、それを楽しんで笑っていた。
「目のやり場に困るね」
梨子ちゃんも頷いていたけど、食い入るように見ていたのでばれないかとヒヤヒヤした。
「私も……」
と、ふいに俯いて梨子ちゃん。
「ああいう風にできるかな……」
千歌ちゃんのことを言ってるのかと思ったけど、実際、梨子ちゃんの気持ちが千歌ちゃんにまだ追いついていないような気がした。
千歌ちゃんは思い立ったら一直線な所があるから。
「私もさ、そういうときめきレベルの高いイベントとは縁がなかったからよく分からないんだけどさ、千歌ちゃんとならきっとどこに行っても楽しいよ」
慰めになってるのかな。
「梨子ちゃん、焦らないでいいんだよ」
下見に行かないと、なんて思う位だからきっと梨子ちゃんもいっぱいいっぱいなのかも。
私は中立的な立場で役に立っていかないとだ。
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