5: ◆OYYLqQ7UAs
2017/05/19(金) 09:29:11.73 ID:1MWb8Lrjo
そこまで考えていたわけではないけれど、今日私はジーンズを履いてきたから、役柄的には私が男役で杏奈ちゃんが女役。もっと言えば、私が彼氏役で杏奈ちゃんが彼女役。
ああ、やっぱりまずは服装を褒めたほうがいいのかな、それとも、杏奈ちゃん自身を褒めた方が……。
「百合子さん……戻って、きて」
「はっ!」
服の裾を杏奈ちゃんにクイクイと引っ張られた感覚で、現実世界に帰還する。
危ない危ない、あのままだと人前でしてはいけない顔になるまでもぐっていくところだった。
「ご、ごめん! 私また飛んじゃってた」
「慣れてる、から……大丈夫」
慣れてると言わせてしまうのはとても複雑で。
迷惑をかけてしまっているな、と思う反面、慣れてしまうほどの時間を一緒に過ごしているということが、すごく嬉しい。
人生、というと大げさだけど、杏奈ちゃんの時間の中に、ちゃんと私がいるんだ、と実感できる気がして。
「今日は…どこに行く、の?」
「あ、えっと、ここからバスで一時間ちょっとのところにあるぷっぷか湖なんだけど」
「湖……」
何か考え込むような素振りを見せる杏奈ちゃん。
もしかして、嫌だったのだろうか。元々インドア派の杏奈ちゃんを湖に誘うのは正直、一つの賭けではあったのだけれど……いざそれで不興を買うかもしれない、という場になると、とても怖い。
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