ハルヒ「古泉くんの子どもだったらあんな放蕩息子に育ってないわよ」
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12:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 15:35:23.08 ID:laxrmAmeo
七重「じゃあ、また明日ね」

サキ「うん。また明日」

スーパーでの買い物を一緒に済ませ、七重の家の前で別れた。

そして昼下がりと夕刻の間の、往来もまばらな住宅街を歩いている時、
ふつと湧くように海馬から呼び戻された事態に思わずひとり言が口をついてでた。

サキ「しまった」

昨日の夜炊いたごはんがお釜に入れっぱなしだ。
晩ご飯のあと、さっさと今日の分の弁当に詰めて、
弁当箱は冷蔵庫に突っ込んだのに、残りのごはんの方は入れた記憶がない。

お父さんは今日、薬剤師会の集まりに行くとか言ってたし。
最近の暖かさだと、昼にはすえてしまっているに違いない。

サキ「やれやれ……」

一つ年を取った初日からこれか。
自分のふがいなさにうんざりしながら、止まっていた足をのろのろと動かすと、

サキ「――――!」

ほとんど歩くこともなく、ふたたびわたしは立ち尽くした。
追加のうっかりを思い出したためではない。

またあの感覚だ。

ここ最近、あるときは近く、またあるときは遠く、この気配を感じていた。
あの悪夢に似た気配。
灰色の空に包まれた世界。

その世界との境界を、今、目の前の道いっぱいに感じる。

どうしよう。回り道して帰るか。
いや、どうせ気のせいだ。
両手に買い物袋と通学かばんをさげて、いちいち気のせいのために遠回りしていられるか。
それに、気のせいだって証明できる、いい機会じゃないか。

半ばヤケ気味な勢いで、わたしはその見えない壁に向かって歩いていき、
そして入ってしまった。


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