47: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/05/09(火) 14:02:28.76 ID:B042YGid0
腹を空かせた獣が呻いているような、低い音。
ジェット戦闘機の全盛期にあって最早空から駆逐されたはずの、レシプロエンジンが奏でる重低音が、雨に混じり雲の中から聞こえてくる。
奴等は最大のものでも4フィートを越えない程度の大きさでしかない。そのため、まだまだその姿は見えない。
見えないが、音は確実に近づいてきている。
('A`;)「────!!」
エンジン音は、丁度俺たちの頭上に差し掛かったところで調子を変えた。
低いうなり声から、高い叫び声へ。
【Helm】が急降下爆撃の態勢に入ったときに鳴る、独特の風切り音。
ジェリコのラッパ───かつて、ドイツを護るためにソヴィエト赤軍の頭上で空の魔王によって吹き鳴らされていた音が、今はベルリンを破壊しドイツ人を殺すために迫ってくる。
なんとも、皮肉な巡り合わせだ。
('A`;)「合図があるまで撃つな!それから絶対にフォーメーションを崩すなよ!!」
音は次第に大きくなり、数を増やして降りてくる。周りに指示を出しながら、ともすれば震えそうになる照準を必死に抑える。
ベルリンの雨は、未だに止まない。
496Res/494.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20