398: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/06/24(土) 00:15:55.26 ID:W1r6lzRK0
「Prinz EugenよりCP、全艦隊戦力の敵新型艦包囲完了。ミルナ中尉以下陸戦隊も後退、離脱済みです。
………本当に、グラーフさん以外の全戦力を此方に回して良かったんですか?」
(=゚ω゚)ノ《問題ないよぅ。その代わり、Graf Zeppelinの艦載機による航空支援とポーランド軍の後続戦力は以後全てパンコウ区、フリードリヒ=スハイン区に回して右翼艦隊、中央のリ級eliteを打撃するよぅ。
寧ろ君達は正真正銘左翼に投入できる最大にして最後の防衛戦力だ。油断はしないで欲しいよぅ》
「できるわけないじゃないでしゅかぁ……」
………内心に渦巻く不安から台詞が口の中でひっかかり、なんとも奇妙な口調になってしまった。
私達艦娘を運用するにあたって、国際社会は公式・非公式を問わず様々な規則や条約を設けた。アイザック=アシモフの提唱したロボット三原則より発想を得た「艦娘三原則」や国家間での艦娘の奪い合いを避けるために設けられた「艦娘保有制限条約」のように正式に国際連合で会議を持って締結された物から、“資源確保や偵察任務に潜水艦娘を酷使するのはやめるべき……でち”という提唱者不明の怪文書(因みに誰も実行していない)まで数千を軽く超える。
その中の一つである、「同一種の艦娘を同艦隊内で運用してはならない」という規則は、法・条約的拘束力こそないもののある理由から全世界の海軍教本にも記載される基本中の基本だ。
“新型”を包囲する形で区内の離れた位置にレーベ達とマックス達は配置されているけれど、通信は連携を迅速に取るため各個が直接行っている。作戦後何の影響もないかどうかはかなりギリギリなように思う。
イヨウ中佐ほど優秀な人が、この教範を知らないということはあり得ない。にもかかわらず、多少の対策こそとられているとはいえ事実上その禁を犯してまで投入し得る戦力を全てトレプトゥ区に注ぎ込んだ。
「………………ッ」
つまり、さっきまでミルナ中尉たちが戦っていた敵の新型艦が「そこまでしなければいけない」とイヨウ中佐に判断させるほどの敵と言うこと。しかも私達は勝つ必要が無く、ドク少尉が無線で宣言した30分という時間が稼げれば十分であるにも関わらず。
……お姉様の前でみっともない姿を見せたくはないけれど、私は生唾を飲み下す音を止められなかった。
心底、恐い。だけど、私達は艦娘だ。
やるしか、ない。
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