【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」
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51: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/14(日) 12:16:55.38 ID:gwN8ecrL0
「ユッコちゃん!」

 茜がぱっと顔を輝かせる。

「ひょっとして、お困りでしょうか!」

 裕子もまた、子どもの前にしゃがみこんだ。子どもはいまだ声をあげて泣いている。

「お母さんとはぐれちゃったところに、この子の風船が飛んで行っちゃって……」

「なるほど!」裕子はしたり顔で大きくひとつ頷いた。「泣いた子どもをあやすなら、亜里沙さんか、このエスパーユッコ! お困りとあらば、このユッコにおまかせあれ!」

「どうしてそんなに自信満々なんだ……」

 思わず漏れた俺のつぶやきは、裕子はもちろん、茜も聴いてはいない。

「取り出したるはこのスプーン!」

「おおっ、今度こそサイキックで曲げるんですか!」

「ふふふ、みていてください〜」

 裕子は茜に思わせぶりに笑いかけると、子どもの目のまえでスプーンをゆらゆらと揺らして見せる。
 子どもは興味をそそられたのか、泣き止むときょとんとした目でそのスプーンを見ていた。

「このハンカチを、こうして……あ、すいません、なにか紐みたいなもの、余ってませんか?」

「ああ、風船の紐の余りがあるぞ」

 俺は余っていた紐を裕子に渡してやる。裕子は自分のハンカチでスプーンの柄の部分をくるみ、風船の紐をリボンのようにして結び、ハンカチを固定する。

「最後に、このペンで……」

 裕子は懐から取り出した油性ペンで、スプーンの先の丸い部分に目、鼻、口を描く。
 ちょうど、スプーンの先を顔にした、てるてる坊主のような人形が出来上がった。

「これぞ! さいきっく・わらしべ人形です!」

「おおっ! それはどんなさいきっくなんですか!」

 茜が興奮気味に堀裕子に尋ねる。子どもよりも興味津々だ。

「茜ちゃん、一緒にこの幸運の人形に、この子のお母さんが見つかるように、さいきっくぱわーを送りましょう! さあ、きみもいっしょに! いきますよ! ムムムーン!」

「ムムムーン!」

「む〜ん!」

 裕子と茜、それからさきほどまで泣きじゃくっていた子どもは、三人とも夢中になって人形に念を送っていた。

「よし! これできっと大丈夫です! さあ、お姉さんたちといっしょにテントにいって、お母さんを待ちましょう!」

 裕子がそう言ったときだった。



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