144:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/25(火) 11:00:42.08 ID:L6BVEgLS0
思ってもみなかった香川からの素敵な提案に、しかし満は首を縦に
振る事が出来なかった。
見ず知らずの自分に、そうする義理がないにも拘わらず、まるで
そうするのが当然のように至れり尽くせりの対応をしてくれた香川に
対して何もお礼が出来ない自分が恥ずかしいと思ったからだ。
しかし...
ぐぅ。と空腹を告げる腹の音が、ごまかせない音を立てた。
それは確かに満の耳にも、香川の耳にも飛び込んできた。
「丸二日寝込んでいるのに、ですか?」
「二日?!」
「ええ。貴方が眠ってから既に二日が経過しています」
「一日だけならば、ここで笑って送り出せるのですが...」
「二日も寝込んだ人間を空腹のまま送り出すのは偲びありませんので」
「ここは一つ、何かの縁と思っていただければ嬉しいのですが?」
「...はい。じゃあ、その...ご馳走になります」
この立派な人にいつか恩が返せるときになったら、ちゃんと返そう。
そう考えた満は、香川の申し出をありがたく受ける事にしたのだった。
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