143:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/25(火) 11:00:14.02 ID:L6BVEgLS0
(ま、まずい。デッキがない!)
デッキがなければミラーモンスターやライダーとも戦えないし、財布の
中には、自分にとって決して無視できない財産を引き出せるカードだって
ある。
「すいません。あのっ、僕の私物はどこにありますか?」
「ああ、すっかり忘れていましたよ。どうぞ、こちらへ」
色々と事情のありそうな初対面の男に動じる事なく、香川は落ち着いて
自分の使っている個室のデスクから、袋に保管していた諸々の満の私物を
そっくりそのまま返還したのだった。
「助かったぁ...本当にどうお礼を申し上げたらいいのか..」
「何から何までこんな見ず知らずのフリーターに....」
「そうかしこまらないでください。困ったときはお互い様ですよ」
財布も、家の鍵も、そしてカードデッキも全部揃っている。
何も欠けていないし、何も壊れていない。
唯一の後悔は、買い込んだ食料が全部おじゃんになってしまった事だが
今は自分の命があるだけ丸儲けだと満は自分を納得させた。
「佐野さん。これからなにか用事はおありですか?」
「あー、ないです。今はその...職無しのプー太郎でして...」
「そうですか、では...これから食事などいかがでしょう?」
「えっ、いや...悪いですよ。だって俺、お礼できないっすよ?」
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