メイド「私の嫌いな貴方様」
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121: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2019/03/09(土) 19:53:53.82 ID:XWj0qJN60

お嬢様を無視して立ち上がる。
やけに現実味のない光景に、ふわふわとした足取り。
それでも足は重く、きりきりと痛むお腹は、これが――こんなのが現実だと突きつけてくる。
糞みたいだね。


誰かの声が何事か後ろから聞こえるけど、なんて言ってるのか分からなかった。

教室を出て、階段を降ると窓から雨が振りだしたのを見た。

関係ない。

靴を履き替えはした。
相も変わらず重い足を引きずって。
わたしは、外に、出た。


雨が私を濡らす。
土砂降りだった。
これまでにないほど昂った気持ちは既に氷点下を下回っている。
今更雨に濡れるくらい気にするものか。

何度かグラウンドのぬかるみに足をとられつつも、学校を出る。

薄暗い景色。
コンクリートに打ち付ける雨音。

灰色の世界。
ずっとずっと私が見てきた世界。
色のない世界。


女「バカじゃないの……」


渇いた口から出た呟きは雨音に紛れた。

私は歩き続けた。



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