113: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2019/03/09(土) 19:46:17.54 ID:XWj0qJN60
そうなんですか〜、と相づちを打ちつつ、その少女について考える。
もしかして、と思った。
痴漢にあって電車から下車。
私はそれをした少女を見た。今朝見た。
先生の懐かしいと言う少女は、今朝痴漢から少女を助けた、あの眩しい少女なのではないか。
「その女の子ってどんな子なの?」
女教師「ん? もしかして気になる?」
「別にただの世間話だよ」
嘘をついた。
本当は興味を引かれていたが、それを先生に悟られるのはなんとなく嫌だった。
女教師「んーそうね、昔は私の後ろについて回るかわいい妹みたいな感じだったかな」
女教師「でも、しばらく会わないうちに大人っぽくなってたかな」
女教師「あ、さっき痴漢にあった子を迎えにいったって言ったけど、その女の子――女ちゃんっていうんだけどね」
「女ちゃん」
女教師「その子が痴漢にあったわけじゃないんだよ」
女教師「むしろ痴漢にあった子を助けたの。痴漢にあった子も私の生徒なんだけどね、女ちゃんも私が副担するクラスの生徒なの」
女教師「すっごい偶然じゃない? ……でも、女ちゃんちょっと怒ってたんだ……」
女教師「あはは……私が約束破ったのがいけないんだけどね。毎年、実家に帰るからその時遊ぼうねって約束してたの……」
女教師「ほら、親と折り合いが悪くて実家に帰ってないって前言ったじゃない。そのせい」
女教師「親に会わないのはべつにいいけど、女ちゃんのことは気にかかってたから……うん、また会えて良かった」
やけに饒舌に話す先生に、そですかと相づちをうつ。
嬉しそうな先生の顔。
私には一度も向けられたことのないその顔を見て、ああ、あの子は先生の大切な人なんだと思った。
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