メイド「私の嫌いな貴方様」
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114: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2019/03/09(土) 19:47:28.18 ID:XWj0qJN60

部活動説明会はつつがなく終了。

部活が始まり新入生をまつ。
さて、説明会の釣果は……。

演劇部にきた新入生はすでに三人。

新入生全体の数がそこまで多くないから三人もいれば重畳。

重畳なのだが、昨日先生と話題にした一年――女ちゃんはきていない。

少し苛立ちにも似た感情が沸き上がった。

あれだけ先生に目をかけられて来ないのかと。
……今の言い方だと例の少女に演劇の才能があるかのように聞こえるな。

私が言いたいのはそういうことじゃない。

ようは二人が幼馴染みのような関係で、先生が女ちゃんのことを気にかけているのに、女ちゃんの方はそれを無下にするとはどういう了見だ、とムッとしたのだ。

もう待つのは止めて新入生に説明を始めてしまおうか、などと考えていると、新たに新入生がきた。

昨日打ち合わせた通りに声をかける。

と、そこで気づいた

女ちゃんだ。

ふーん、やっぱり来たんだ。

女ちゃんは友達を連れてきた。
というかその友達はおどおどとして痴漢されてた子だった。


おどおどしている子はともかく、例の少女の方は私がだれか気づかなかった。

今は化粧もしている衣装も着ている。当たり前と言えば当たり前だ。

まあ、私に気づかないのなら別にいい。
適当に話を切り上げて二人から離れた。

……。
少し残念だと思った。

その後二人は先生と話をしていた。

嬉しそうに笑う先生。
そして少女を見て……ああ、そうか。

私はその時理解した。
少女を見てすぐに察することができた。

熱びた目。
嬉しそうにはにかむ顔。
弾んでいる声のトーン。

ああ、この子は恋をしてるんだ。
先生のことが好きなんだ、と。
いつかの私と同じように――。

……ああ嫌だ。
少女と先生が輝いてみえる。
私がなりたくてなれなかったやつだ。

きらきら輝いてみえる彼女を一目見て、恋をしているんだと分かった。

苦しくなって彼女たちから目をそらした。
どろどろとした感情が私の胸につっかえる。
その感情をなんと言っていいのか分からなかった。

だけど、ただ自分が惨めに思えた。




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