115: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2019/03/09(土) 19:48:21.51 ID:XWj0qJN60
………………
…………
……
女「正直、なんで先輩が私のことをご執心なのかわからないんですけどね」
ギャル「そんなのかんたんかんたん、輝いてみえるからよ。きらきらってね」
女「ああっぁ?」
やっぱりバカにしてる。
私は夜空のお星さまか?
女「は、先輩って鏡もってないんですか? そんな派手な見た目してて輝いてないってことはないでしょ」
ギャル「…………」
けばいんだよ化粧が、と続けざまに言おうとして、叶わなかった。
見てしまった。
いや、睨み付けているのだから見るのは当たり前なのだが。
それでも見てしまったと、見てはいけないものを見てしまったと、たじろいでしまった。
ここで私は一歩も引くことなく大嫌いな先輩に立ち向かうべきだったのだろう。
でも、無理だった。
一歩引いてしまった。
思えば先輩はにこにこと笑顔を崩さなかった。
頬を張られたときでさえも。
まるで演技しているみたいに。
けど今、目の前にいる先輩の顔からは人を馬鹿にしたような笑みは消えていた。
代わりに浮かんでいたのは――
ギャル「なれないんだよ! 出来ないんだよ! 私は、輝くことなんて!」
アイシャドウとつけまつげでバッチリと開いた目が細められ、私を睨み付ける。怒りを隠そうとしない形相だ。
地雷を踏んだ。
怒鳴り声と、怒りに満ちた表情が私にそう思わせた。
正直に言うと、この先輩のことをなめていた。
どれだけ私が失礼な態度をとっても嫌らしい笑みを浮かべてひょうひょうとするだけだと思っていた。
ギャル「見た目どんなに磨いたって、人との付き合い薄っぺらいし、辛いし、めんどくさいだけだし、楽しいって思えないし」
ギャル「だけど、一人でいると――周りがワイワイしてるなかで一人でいると自分が惨めに思えるし」
ギャル「変わりたくって、だから見た目を良くしようと、明るくみえる方法勉強して。努力して。私のこと誰も知らない高校に来て。演技して。がんばって……がんばったんだよ」
ギャル「私だって――私だって輝きたい。でも、なれないんだよ! お前みたいに!」
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