俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』 その他 Part2
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2022/10/10(月) 09:34:38.11 ID:4j2wPxKL0
雪ノ下の語るところによれば、由比ヶ浜は俺と一緒に見送りに来たい、と言っていたのだが「どうせまたすぐに会えるのだから」と固辞したらしい。
由比ヶ浜はそれを自分に対する遠慮と捉えでもしたのだろう。
あれ以来、部室でのふたりに対する俺の態度も以前のそれと変わりない。
それは誰かに対する、ましてや由比ヶ浜に対する遠慮などではなく、それこそが俺の望んだ俺達の本来の姿であり、自然体だと思ったからに過ぎない。
八幡「まさか、あいつがいくらアホの子だからって、自分が邪魔者だとでも勘違いしてたのか?」
人一倍空気を読むことに長けた由比ヶ浜のことだ、それもありえない話ではないのかも知れない。
雪乃「まったく見当違いもいいところね。もしあの部屋に邪魔なものがあるとすれば、それは比企谷くんの存在以外ありえないのに」
八幡「うんうん、だからそうやって隙あらば俺をディスろうとするのやめような」
っていうか、アホの子は否定しないのかよ。
ちなみに最近めっきり物腰が柔らかくなったと評判の雪ノ下だが、遠慮がなくなった分、俺に対する当たりは以前よりも強くなっている。
それこそ人当たりがよくなったのではなくて、八つ当たりが酷くなったんじゃないかってレベル。
八幡「でも確かにあいつってば、ああ見えて結構強引だし、変に押しの強いところもあるからな」
もしかしたら、そんな俺達がもどかしくなって、あいつなりに背中を押してくれたつもりなのかも知れない。
そう考えれば、騙された事にも腹は立たず、知らず俺の口にも苦笑が浮かんでしまう。
雪乃「ふふ。そうね。でもそういえば由比ヶ浜さん、この間、私にこんなことも言っていたわ」
“ ―――― あたしは好きな人にフラれちゃったけど、その代わりに大切な友達がふたりもできたから、それでいいの”
なるほど。いかにも俺たちの知る由比ヶ浜の言いそうなセリフではある。
らしいとか、らしくないとかを超えたところで、由比ヶ浜はやっぱり由比ヶ浜なのだから。
そして結局俺たちはまた、いつものようにあいつの前向きな明るさに救われたことになるのだろう。
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