903: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/05/06(月) 22:39:44.45 ID:kdA8uLchO
永井たちが社長室に進入する。三人がそれぞれ三方向をクリアリングし、佐藤の姿はないと確認する。
最初に気づいたのは、中野だった。
中野「うそだろ……」
声につられて、永井も中野と同じ方向へ視線を向けた。
中野「殺されてる」
セーフルームの内部を映すモニターには、撃ち抜かれた甲斐の頭部が映っていた。後頭部に射出口が開き、そこから溢れた血と脳漿が椅子の背もたれを汚していた。
永井が死体に視線を向けていたのは一秒にも満たなかった。
モニターのすぐ横の壁に穴があった。その穴を見た瞬間、永井は佐藤が何を行なったのかを悟った。
中野「永井、穴だ。ここから手を入れて撃ったのか?」
中野が壁に近づき、穴に眼を観察した。穴はきれいな円形を成しておらず、下方の弧が上方の孤より大きく膨らむようなかたちになっていて、右方が凹んでいる。
永井は別のところを見ている。床に倒されたキャビネット。黒服たちが銃撃戦に備えて身を隠すために用意したものだった。そのキャビネットの上向いた側面がべっとりと血塗れになっている。永井はそこで何が解体されたのか理解した。
中野「この素材に!?……なに使って開けたんだよ」
壁に手を触れた中野が驚く。素材の頑丈さと、それに佐藤が穴を開けた事実に。直後に中野は、穴の下部分が濡れていることに気づいた。それは血だった。
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