904: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/05/06(月) 22:40:26.59 ID:kdA8uLchO
永井「だめだ、失敗だ」
中野が血の跡にぞっとする間もなく、永井が呟いた。
中野「まだ戦うんだろ? そのために完全封鎖したんじゃねーのか?」
永井の突然の諦念に戸惑いながら中野が訊いた。
永井「中野……完全封鎖はハナから、賭けなんだ。佐藤が亜人のある性質に気づいていないかもという望みにベットした、勝率の低い賭け……」
今までのように現在進行で推移している事態を中野は理解していなかったが、対応する永井の声音はそれまでと違い、静かで落ち着いていた。その落ち着きは冷静さによるものだったが、それは行き止まりに行き着いたときにみられる類のものだった。
中野「どういうことだ?」
永井「結果だけ見てみろ。この頑丈なドアに、穴を開けたんだぞ?」
永井が視線で穴を見るよううながす。中野はふたたび、壁の頑丈さとそこに穴が開けられたという事実に息を飲み込む。
永井「佐藤を長時間このビルに閉じ込めておくことなんて、不可能ってことだよ」
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