新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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905: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/05/06(月) 22:41:16.77 ID:kdA8uLchO


『永井君』


佐藤の声が突然降りかかってきた。

その瞬間、永井はドアのほうへ視線をやった。入口から少し離れた位置に平沢が立っていて、ドアに銃口を向けながら敵の進入を警戒している。


『これが聴こえているとしたら、君はまだ十五階にいるってことだね』


佐藤の声はスピーカー越しに聞こえてきた。すこし籠っている。


『私の作戦は終了したわけだが、君の作戦は……これじゃあダメだよ』

『おさらいをしてみよう。おそらく君の作戦は、私がビルに侵入した時点で破綻していたんじゃないか?』

『“断頭”の話をした私自身があの手段で移動してくるとは考えなかった』


十階の放送室から永井に呼びかけていた佐藤は、そこで一旦言葉を切った。そして、偽りのない実感を込めてマイクに向かって声を出した。


佐藤「あさはかだよ」


あからさまな失望が永井の耳に届く。その声音によって、永井は今もなお佐藤から“感情”を向けられていることに気づいた。

永井個人に向けられた佐藤の放送が続けられる。


『きみはいいものを持っている。なのに、いまのままじゃあもったいない』

『だから、こうしよう』






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