652: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:05:31.77 ID:z5kRHM0CO
血溜まりは家のなかにもある。カーペットや壁紙、ドアや家具などに血が飛び散っているのは、屋外の銃撃戦を聞きつけた護衛の警官が応戦のため動いているところを撃ったからだ。至近距離での銃撃戦によって、部屋のなかはものが散乱していた。家具はもとあった位置からおおきくずれ、ランプや椅子は倒れている。観葉植物の葉っぱはところどころ赤い。
部屋の中央に帽子を被った男──佐藤が立っていた。撃ち殺したばかりの標的を見下ろしたのは一瞬だけ、首を左に動かすと、月の光が射し込んでいるキッチンのほうへ視線を向けた。りりりりり、という虫の音が聴こえた。
653: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:06:47.60 ID:z5kRHM0CO
佐藤と戦うにあたってまずしなければならないこと。最低限の戦闘行動がとれるようになるための身体づくり。
何年かまえに廃業した宿泊施設はトレーニングにもってこいの場所だった。ここは亜人管理委員会が所有している施設で、主に黒服たちが仕事や訓練をするときに使う場所だ(つい最近ここで行われた仕事はオグラを拷問したことだった)。屋内は作戦行動時を想定した訓練が可能だし、芝生におおわれた裏庭は開けていて、あらゆる基礎トレーニングにうってつけだ。それに加え、訪れる者がだれもいないような山奥の施設なので、秘密裏に人間を収容しておくのにもうってつけだった。
654: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:07:46.21 ID:z5kRHM0CO
中野「二十回もやってねーぞ」
隣の中野は順調に腕立て伏せを続けていた。始めてすぐにフォームを修正されたので、いまでは腕に相当の負荷がかかっているはずだが、ペースはいまだ落ちない。
655: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:09:39.07 ID:z5kRHM0CO
永井「あーあ! 殺しときゃよかったなー!」
戸崎「ホルマリン漬けにするぞ」
656: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:10:59.69 ID:z5kRHM0CO
下村「会わせたい人がいるの。ついてきて」
永井「はい」
657: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:13:25.06 ID:z5kRHM0CO
永井「だってあのひと、亜人だろ。病院であの人だけ耳栓してなかったからな」
中野「彼氏いんのかなあ」
658: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:14:37.68 ID:z5kRHM0CO
永井「オグライクヤ……」
中野「おれは中野です」
659: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:17:29.50 ID:z5kRHM0CO
『オグラさん、御託はいい』
対面するオグラと永井を真横に捉える位置に三脚にすえられたHDカメラが置かれていて、戸崎の声はそこから聞こえた。
660: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:18:41.57 ID:z5kRHM0CO
一瞬の間もおかず永井はIBMを発現した。
オグラ「形状はプレーン。くっきり見えるな」
661: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 20:20:16.24 ID:z5kRHM0CO
オグラ「アイオワの農家の亜人が似たような事例だった」
オグラが話し出し、永井はそちらに向き直った。中野は磔にされたままだったが、二人ともそちらを気にもせず、会話に意識をむけていた。
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