新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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588: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/04/17(火) 22:14:19.93 ID:7BzTB0Y9O

 高架線の下は暗く、高架橋にのっているコンクリートできた道路は、ぎゅうぎゅうに押し固められたひとつの夜の塊のようだった。アナスタシアは永井の横顔をみた。動作中のオーディオのほのかな青色の光が、わずかにふくらんだ前髪、鼻梁から顎までにかけての輪郭をよわよわしく浮かび上がらせている。


永井「つまり、僕らが今やるべきは何か?」


 永井はふたりに向き直り、きっぱりと言った。


永井「仲間を探すことだ。それも強力なサポートが可能な大人に限る」


 永井の言葉を聞いた中野はニカッと笑い、「それならアテがある」と自慢げに言った。

 ほんとかよ、と半信半疑の永井のななめ後ろで、アナスタシアは頼りになる大人について考えていた。まっさきに挙げられるのは、家族を除けばプロデューサーしかいなかった。だが、彼のことを口には出さなかった。大きな身体をしているが、乱暴なこととは無縁の人で、だからアナスタシアは美波や仲間たちとおなじく、プロデューサーも、危険で物騒なことから遠ざけたかった(それに永井になんと言われるか。芸能関係者の名前を出したところで、またバカと言われるだけだ)。

 永井のスマートフォンがふるえて、充電が完了したのを知らせる。永井は充電器の線を引き抜くと、オーディオからCDを取り出した。それからふたたび座席の背もたれを倒し、眼を瞑って、本格的な眠りにつこうとする。それにつられて中野の伸びをし、背もたれに身体を預けた。



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