532: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/12/22(金) 23:59:35.42 ID:OBzab0O/O
北「おれは年金も蓄えもあの会社の株に突っ込んでたんだぞ! おれの人生は!? 老後の計画は!? どうしてくれるんだ!?」
山中「小さい男だね! ただの逆恨みじゃないか!」
北「だまれクソババア!」
必死の訴えを一蹴した山中の眼前に北は猟銃の銃口を突きつけた。
北「あんなバケモンかくまうんだ、てめえも亜人なんだろ! 正体暴いてやるよ」
山中「どうせあと何年も生きやあしないんだ。わたしはかまわないよ」
山中は銃口など存在しないように鋭い視線でパニックになりかけている北を睨みあげた。引き金にかけた北の指は強張っていた。力が入りすぎ、万力のようにゆっくりと引き金に力かかかる。
そのとき、小屋の外でガタンと物音がした
北「なんだ!? 奴か!?」
北は慌てて振り向いた。
北「おい! そこにいるのか!」
返事はなく、夜がしんと静まり返っているだけだった。ドアのない小屋の入り口は黒い闇を見せるだけ。北は猟銃を肩に当てずんずんと小屋の外へ進んでいった。
北「どこだ!?」
北の姿が見えなくなった瞬間、いきなり銃声が轟いた。山中のおばあちゃんの身体が反射的に跳ねた。白い煙がモワーッと闇の中に浮かび、溶けるように消えていく。誰かの足音がした。その足音はすぐに聞こえなくなって、あたりに夜の静寂が帰ってきた。ささやかな虫の声音以外はなにも聞こえなくなっていた。北の怒りも絶望もこの世から消えた。
山中「……ふん!」
すこしして、事態を察した山中のおばあちゃんが鼻を短く鳴らした。
山中「そうでなきゃあね……男ってのは」
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