新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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531: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/12/22(金) 23:57:13.82 ID:OBzab0O/O

 使われなくなって何年も経つその小屋は、物置きと化していて、同じように使われなくなった廃材やポリタンクや段ボール、諸々の粗大ごみが壁際に無造作に置かれていた。

 そこは居場所がなくなり、放置され、忘れ去られた物が棄てられた、忘れ去られた場所だった。

 大型のクーラーボックスの上に山中が座らされている。ガムテープで両手を縛られ、額からは出血している。銃床で殴り付けられてできた傷だった。


山中「ちょっとアンタ、異常だよ? なんでそんなにあの子にこだわるんだ?」


 山中のおばあちゃんが北に訊いた。


北「グラント製薬……あの会社がどれだけの人達を救ってきたか……」


 なかば茫然自失とした様子で北は話しはじめた。


北「株価は安定、本当の優良企業だ……それがあの事件で一変……連日のストップ安……どうにもならん」


 話しているうちに絶望を自覚したのか、北の声に悲痛さが増していった。北はほとんど叫ぶようにして、自らの絶望的な苦境をだれに訴えればいいのかわからないまま口にしていた。



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