新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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512: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/12/22(金) 23:21:26.93 ID:OBzab0O/O

北「村の出口は二ヶ所、橋と林道だ! 残ったやつは森を探すぞ!」


 北が飛ばした指示に従って村人たちはそれぞれの武器を握り駆け出していった。


山中「そんな……あの子が……」


 北はいまだショックから立ち直れない様子の山中を見た。山中が立っているところは玄関の庇の下で、呆けている表情が浮かんでいるはずのその顔には影がかかっていた。


北「山中さん、アンタ……本当に知らなかったのか?」


 北は影の下にいる山中に向かって、先ほどの詰問調とうってかわって、冷静な感じのする声で尋ねた。


山中「もちろんだよ」


 山中は影の中に身を置いたまま、北に答えた。

 返答を聞いた北の眼筋が引き締まり、目が細くなった。年老いた北はその細まった黒い眼を山中に向けながら、首が固定されたように山中から視線を動かさず、猟銃を握る手に力を込めた。


堀口「北さん、はやく!」


 急かされた北は山中に背を向けた。集団に合流するのあいだ、北が考えていたのは、山中の服にこびりついていた土汚れのことだった。


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