新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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513: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/12/22(金) 23:23:47.66 ID:OBzab0O/O

 一台のバンがかなりのスピードで杉の木が道の両端に並ぶ林道を走り抜けていった。平凡な夏の日によく見る光景だったが、タイヤが巻き上げる土埃の勢いは運転手が急いでいることを物語っていた。

 運転手は頬がこけた老人で、出っ張った頬骨の上には眼鏡のつるがあり、車体の揺れにあわせてレンズに反射する光が上下していた。


老人「山中さんにぜんぶ聞いたよ」


 運転している老人が助手席の永井に声をかけた。
 老人は山中の家の裏窓からにげだした永井を待ち構えていて、村から車で脱出させようとしてくれたのだった。


永井「亜人を怖がらないんですね」


 永井は老人のほうを見ながら言った。


老人「ニュースがすべて正しくないなんてことくらいわかるよ。きみは化け物じゃない」


 老人は運転に集中していて前を向いたままだったが、永井をないがしろにせず、不安を払拭するためによく言葉を考えて口にした。


永井「ありがとうござまいす」


 永井はほっとしたように言い、頭をシートのヘッドレストに預けてリラックスした。



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