505: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/12/22(金) 23:10:26.42 ID:OBzab0O/O
吉田「なあ……おれはこんな子が亜人には見えねえよ」
石原「ああ」
老人たちはほだされたように互いを見やった。
堀口「話におかしな所はねえ。本人じゃなきゃあこんなにポンポン出てこねえわな」
永井は頭を下げたまま、瞳を正面にいる堀口にむけて動かした。頬には涙で湿った感触が残っていたが、その眼はもう乾いている。
堀口「だがな、そんなんじゃあここの一員と認めるわけにはいかねえぞ」
堀口だけは永井の涙混じりの弁解の言葉にほだされた様子は見せず、冷静な視線で永井を見据えながら言った。永井圭ではなかったとして、それだけで村の住人になれるわけではないのだ。ただの若造になにかしてやる義理はない。
永井「はい……この度は、本当にご迷惑をお掛けしてしまったので」
永井はそう言いながら持参した紙袋の中に手を入れた。ガサゴソと中を探り、永井は中身を取り出すと、それを座卓の上にどんと大きな音を立てて置いた。
永井「お詫びといってはなんですが」
一升瓶の底が座卓を叩く音に反応した老人たちに見えるよう、永井は瓶のラベルを正面に向けた。
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