465: ◆X5vKxFyzyo[sage]
2017/10/23(月) 22:23:15.37 ID:rkcK97lyO
悲惨なのは、破片によって二次被害を受けた人びとだった。墜落の衝撃とその後の爆発によって空中高くまで吹き飛ばされた破片物はほとんど隕石のような勢いで落下してきて、無防備な歩行者に降り注いだり、車やビルの中にいる人間にも窓ガラスを突き破って襲ってきた。頭部に直撃しなくとも胴体に当たれば内臓がダメージを負い、四肢のどこかに当たっただけでも腕や脚の動脈が損傷した。重傷でなくとも、ひどいショックを受け身体を小刻みに震わせながら自失している者や逆にパニックを起こし叫び声をあげている者たち、ビルや車から逃げ出してきた軽傷の人間が道路に溢れかえり、混乱した様子で動き回っていた。
空には何機ものヘリコプターが舞っていた。報道ヘリ、消防防災ヘリ、ドクターヘリ等が出す騒音は上から聞こえるだけに負傷者を不安にさせる。ヘリから降り立った医師が負傷者のもとへ駆けてゆく。消防隊員もウィンチでヘリから降り、地上からは届かないところにいる被災者をひとりずつ助けあげている。
戸崎はそのような事態の推移をただ黙って、無感情な眼で見据えていた。
石丸「コウマ陸佐、いつまで出し惜しみしてる気だ! 対亜を召集したらどうなんだ」
コウマ陸佐「駄目だ。存在自体違法の部隊。こんな公の場では出動させられん。上からも釘を刺されている」
コウマ陸佐は苦渋の表情を浮かべながら応えた。
石丸「戸崎! 完敗だな!」
戸崎「ここからですよ」
戸崎は、打つ手なしの状況に叫ぶ石丸に振り向きもせず、モニターを見上げたまま静かに言った。
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