新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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265: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/06/10(土) 22:30:44.08 ID:7K73HWKCO

この事実を美波に伝えることは、アナスタシアには許されていない。アナスタシアだけでなく、シンデレラプロジェクトの他のメンバーにも、プロデューサーにも現時点での通達は許可されなかった。当然のことだろうとは思う。いまこの段階で、美波にさらなるストレスを与えることは、どう考えても精神状態を悪化させる効果しかない。

しかし、いつまでも秘密にしておけるわけではない。治療のため、テレビやラジオや携帯を禁止して情報から遮断したとしても、いずれ美波はこのことを知るだろう。そのとき、わたしはどうすればいいのだろうか? 秘密にしていたことを謝罪するのか? それとも、虐待について抗議の声をあげなかったことを? プロダクションの意向に従い、ラブライカとしてではなくプロジェクトクローネとしてレッスンを受けていることを?

以下略 AAS



266: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/06/10(土) 22:31:54.23 ID:7K73HWKCO

奏「ひどい汗よ」


顔を上げると、プロジェクトクローネのリーダー、速水奏がタオルとミネラルウォーターをアナスタシアに差しでいている。アナスタシアはお礼を言おうとするが、酷く乾いた喉が言葉を詰まらせる。結局頷くだけして、タオルとペットボトルを受け取る。タオルには熱中対策用のスプレーがかけられ、よく冷えている。ミネラルウォーターも同様だ。アナスタシアは顔の汗を拭ってから、ごくごくと水を飲みひと息つくと、ようやく奏にお礼の言葉を言えるようになる。
以下略 AAS



267: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/06/10(土) 22:34:00.73 ID:7K73HWKCO

奏「午後からもレッスンを続けるの?」

アナスタシア「もうすぐ、お仕事ですから」

以下略 AAS



268: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/06/10(土) 22:35:28.40 ID:7K73HWKCO

奏はそんなアナスタシアを心配している。だが、無理に止めさせようとすることなく、練習に付き添い監視役をつとめることもない。何度か様子を見に来て、休憩だけはとらせるようにするだけだ。アナスタシアは奏の行動に感謝より心苦しさを覚える。

奏だけではない。シンデレラプロジェクトのメンバーにも、プロジェクトクローネのメンバーにも、それ以外のアイドルたちにも、プロデューサーやちひろや今西部長らにも、そして父親と母親や家族たちにも、いまの自分の振る舞いが心配を与えていることに、アナスタシアは罪悪感を覚えている。

以下略 AAS



269: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/06/10(土) 22:38:16.34 ID:7K73HWKCO

アナスタシアのスマートフォンに着信がはいる。マナーモードにしているため小刻みに振動する携帯をバッグから取り出し手に持つと、着信を知らせる画面は相手が非通知だと表示している。アナスタシアは通話に出る。


アナスタシア「もしもし」
以下略 AAS



270: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/06/10(土) 22:43:02.05 ID:7K73HWKCO
今日はここまで。

幽霊つながりということで、小梅ちゃんに「おしっこしたいbot」こと黒い幽霊のセリフを言わせてみましたが、書いてるあいだめっちゃ恥ずかしかったです。

>>262
以下略 AAS



271:名無しNIPPER[sage]
2017/06/10(土) 22:48:56.06 ID:LPhvcyiE0
おつー

おいしいから大丈夫は草


272:名無しNIPPER
2017/07/02(日) 17:06:42.56 ID:XRIUMAM70
つづきま〜だ時間かかりそうですかねぇ〜?


273: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/07/04(火) 22:03:34.05 ID:71zPWDoOO
お待たせしてしまって申し訳ありません。筆が止まっているわけではないのですが、書かなければならない要素が多く時間がかかってしまいました。なんとか目処がついてきたので、早ければ今週中、遅くとも来週には更新できると思います。

と、こんな報告だけではなんとも味気ないので、予告代わりに次回更新する内容をちょこっと紹介します。永井とアナスタシアの会話です。


以下略 AAS



274: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/07/08(土) 12:24:59.86 ID:8mPTevMeO




275: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/07/08(土) 12:25:35.97 ID:8mPTevMeO

九三年にオープンするはずだったホテルサンヘイリの有様は、二十年近く放置されていたにしては、立派に聳え立っているといってよかった。建物は周囲を鬱蒼とした森に囲まれた場所にあり、真上から降り注ぐ陽射しと森から沸き起こってくる蝉の鳴き声を一身に浴びている。もともとはこの森を切り開き、ゴルフ場やリゾート施設を建設する予定だったが、バブル崩壊を期に開発計画は頓挫。いまでは伸び放題の雑草とスプレーの落書きがこの夢の跡を飾っている。
この廃墟のまえに七人の男たちがいる。かれらはみな亜人で、二日前に厚生労働省に集い、ここに再集合していた。

かれらは大半は二十代半ばから後半と思えた。ストライプの半袖シャツとハーフのジーンズ、サンダルという格好の男と、カーディガンを肘までまくり、長髪を後ろで束ねている男は付き合いがあるらしく、緊張感なく他愛もないことをくっちゃべっている。他の者たちは互いに視線を合わせようとせず、黙りこくっている。眼鏡をかけた坊主頭の者、ショルダーバッグを肩からかけている者、曲がった右足の杖をついたジャージの者などがいた。いちばん若いのは、髪を茶色に染めた十代後半の少年。髪を短く刈り上げた体格の良い男性がおそらくもっとも年齢が上で、腕時計をみて時間を確認している。
以下略 AAS



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