新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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214: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 21:43:28.93 ID:AMJLL1TVO

幽霊は一足跳びで佐藤を拘束できる位置まで距離を縮めていた。前に出した右脚に力を集中させ、バネのように弾き出そうと幽霊に意識を伝達するその瞬間、佐藤の左手が突然あがった。十字型の頭部の中心点めがけて銃弾が襲ってくる。幽霊は思わず右に動いた。脚に込められた力が右方向に解放され、壁に激突、ぶつかった箇所が思いっきり凹む。頭を壁から抜いて、衝撃で揺れる視界が修正されると、目前には佐藤がいる。佐藤は血の流れる腕を振り、手のひらに溜めた血を幽霊の顔めがけて投げかけた。

視界が赤一色になり、あわてて血を拭おうと幽霊は両手で顔を擦ろうとする。身体を曲げ、頭をさげる。佐藤は剥き出しになった幽霊の首に腕を巻きつけ、グッと腰を落とし、全身の筋力を利用して幽霊の身体を浮かせると、背中を仰け反らせ、幽霊を後方に投げ飛ばした。床に叩きつけられた星十字の幽霊は、いちどバウンドし宙に浮いた身体を捻ると、爪を床に突き入れ無理やり体勢を戻し、膝をついた。幽霊は顔をあげ、こんどこそ躊躇を捨てて拘束しようと佐藤を探した。



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