213: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 21:41:34.68 ID:AMJLL1TVO
永井が反射的に眼をつむっていると、星十字の幽霊が佐藤と永井のあいだに割り込み、銃弾をすべて受け止めていた。
IBM(???)『逃げて!』
少女の声をした幽霊に言われるまでもなく、永井はすでに階段を駆け上っていた。星十字の幽霊は佐藤に向き直ると、跳躍し、拳銃を奪い取ろうと突進した。佐藤は身体を半回転させ幽霊の突進をかわしたが、突き出した黒い手が拳銃を持つ佐藤の腕にかすり、血管が断たれた。腕をつたう赤い渓流をみて、レインコートの人物は動揺し、それは幽霊の態度にもあらわれた。距離をあける佐藤にたいして、星十字の幽霊は追撃もせず棒立ちで見送った。
佐藤「永井君のお友達かな」
佐藤は拳銃を持ち替えながら、いった。その言葉にハッとしたのか、星十字の幽霊は両腕をあげ、脇を締め戦闘の構えをとった。様になっているとは言いがたかったが、黒い幽霊が相手となると、佐藤といえども生身での対応は困難だった。
佐藤 (どうしようかな。幽霊はいちど出しちゃったし)
佐藤は血流が皮膚のうえを流れ落ちるのを感じながら、使用者不明の黒い幽霊への対処について考えを巡らせていた。幽霊は足を擦ってジリジリと距離を縮めつつあった。佐藤は突っ立ったまま。傷を負った方の手を、清流をすくうみたいに指を曲げ、血を手のひらに溜めている。
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