97:名無しNIPPER[saga]
2017/05/07(日) 21:40:54.16 ID:GCuDn6z20
「入りなよ。臭いよ」
そう北上に言われ、僕も浴室に入る。
「…あ」
ふと蛇口に指をかけて、僕は赤い何かに気がついた。
血だ…
理解してしまうと、思わず足元を見た。
北上は流したのだろう。
だが、流しきれなかった彼女の血が、排水溝近くで滲んでいた。
何も言えない気持ちのまま僕は頭から湯を被った。
そうして濡れた髪のまま部屋に戻ると、バスタオルを赤くにじませた北上がいた。
彼女は歯でシーツを噛んでいる。
何をしていると問うより早く、彼女はシーツを裂く。
「…手当してるだけだって」
北上はそのまま器用に傷口にシーツを巻いていく。
その手慣れた作業を見ながら、
僕は彼女たちが赤い血を持っているのだと今更再確認した。
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