77:名無しNIPPER[sage]
2017/04/03(月) 22:29:29.79 ID:rbYudfL80
16
ただ暗かった。
だが、冷たさから自分が海に落ちているのだと分かった。
記憶が、飛んでいた。
思い出そうとして頭が痛んだ。
なんとか体勢を立て直す。
波を被るたび、ひどく痛む。
頭に傷を負ったらしい。
ぐるりと周りを見る。
遠くに光が見える。
…どこの港か。
だんだんと力がなくなりつつあった。
死ぬのかと、ふと思った。
それで生きていたとして、自分に何があるのかと想像した。
明るい未来が待っていたのだろうか?
いや、このままではなかっただろう。
思えば何も考えず、
あるいは不幸となると知りながら進むのは、愚かではないか。
そんなことを、考えた。
またダメかと、知らず口にしていた。
きっと、自分の人生に満足はないのだろう。
あったとしてもそれは刹那。
満たされた豊かな退屈はきっと訪れない。
そう思った時、遠くに小舟を見つけた。
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