194:名無しNIPPER[saga]
2016/12/16(金) 02:15:10.67 ID:NG5ps7hHO
(これは、一体…)
朦朧とする意識の中で呆気に取られて観察していると、徐々に傷が癒えているのが分かった。
腕の裂傷は塞がり、骨が剥き出しだった掌には新たな肉が盛り上がっている。
あれだけ失血にも拘わらず、朦朧としていた意識も次第にはっきりとしてきた。
(この紫の稲妻、雷が傷を治している? まさか、そんな事例は聞いたことがない)
(元素は四つ。雷なんて発現するはずがない。しかも傷が治癒するなんて……)
(医療用の陣と元素の暴走。偶然、何らかの魔術を行使してしまったのでしょうか)
(……こんなことを考えている場合ではありませんね。他がどうなっているのか確かめないと)
ふらつきながらも何とか立ち上がり、壁に身体を預けてゆっくりと歩き出す。
慎重に進むが、医療所はすっかり静まり返っており化け物の気配もない。
まだ霞む目で辺りを見渡すが、やはり化け物の姿はない。
どうやら先程の一体で最後だったようだ。
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