42:名無しNIPPER
2016/11/20(日) 23:19:23.05 ID:qJIGiTwi0
本は再びありすに向き直ると文字のムチを放つ。
「はぁっ!」
彼女はその杖を突き出すように振った。
またたく間に光弾が生み出されると、迫りくる文字のムチを打ち砕く。
本は忌々しげに震え、更に文字のムチを放つ。
「何度同じことをしようと…無駄です!」
さらに強く杖を振るう。更に多くの光弾がムチを砕き、本にまで到達。まばゆい光を放って弾けた。
苦し気にオレンジ色の表紙を泡立たせながら、本はよろけて地に落ちる。
「今です!」
ありすは杖を更に振るった。凍てつく冷気が生み出され、氷によって本を地面へと張り付ける。
「はああっ!」
杖を構え、ありすは本へと突撃する。杖が炎を纏い、燃え盛る槍と化す。
本はバラバラッとページをめくった。
「…っ!」
すんでのところでありすは突進を止めた、開かれた本のページからは文字の鎖で捕らえられた文香の上半身が浮き出していた。
確認しなくてもわかる、本物の文香だ。今も変わらず、つらそうな表情で目を閉じたまま動かない。
「文香さ…あぐっ!?」
文香の周囲から文字のムチが現れ、眼前で止まったありすを弾き飛ばした。
「っ…人質という訳ですか。卑怯ですよ…」
ありすは空中で体勢を立て直し着地すると、再び杖を構えた。
(…しかし、あれじゃ迂闊に叩けません)
ありすは注意深く、本の様子を伺う。
それは相変わらずページから触手めいて文字のムチをくねらせ、ありすの動きを警戒している。
文香の姿は再びその泡立つオレンジ色の中へと消えていった。
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