171: ◆mZYQsYPte.[sage saga]
2016/11/29(火) 20:17:14.81 ID:6UrSFTGKo
比屋定「自律戦闘艦を作ることは、人間が深海棲艦を作ることと同義なのよ」
八雲「敵の戦車を潰すために自前で戦車を作るのは合理的な判断だ」
比屋定「そして同数以下しか作れないなら、より質の勝る戦車が必要になる。ここが気に食わないの」
比屋定「自律戦闘艦は人の外の存在。女の肉体を模した器と敵に無い知性と感性が与えられるそうよ」
八雲「知ってるよ。自我を持つ擬似生命を創りだすのが嫌ってか」
比屋定「ちょっと違うわ。私は兵器とはあくまで道具でなければならないと思う。人の手によって動かされる人のためのもの」
八雲「セーフティだって整備する。根本が人のためのもの、って部分で変わりない」
比屋定「アテにならないわ。自我を持つ兵器はいずれ私たちの支配から外れ……人そのものに影響力を与えようとするでしょう」
八雲「根拠は」
比屋定「イブよ。創造主の言いつけを破って果実を食べてしまうのだから。女型の自律戦闘艦だって、きっとそうなる」
八雲「宗教を引き合いに出すなよ」
比屋定「女がいかに邪悪な生き物か、この星のベストセラー本に書いてるのよ」
八雲「へいへい」
比屋定「そもそもがこの戦争は誰の戦争?」
八雲「人間と深海棲艦だろ」
比屋定「深海棲艦と自律戦闘艦はナノマシンによって妖精が生み出したもの。海でそれらが戦うとすれば、人間はどこに居るの?」
八雲「……確かにそうだけど。なんていうか、アンタの言うことは承服しかねるよ」
比屋定「そう?」
八雲「霊装魂にすれば人の血が流れる」
比屋定「自律戦闘艦なら誰も傷つかない?」
八雲「……そうだよ」
比屋定「……」クスクス
八雲「あー! もう! 私にらしくないことを言わせるな!」
比屋定「貴女らしいわよ」
八雲「自分の誇りを守るために誰かの血を求めるのは、軍人以前の邪道だ」
比屋定「なら貴女は邪道を行こうとする私をどうする? 殺す?」
八雲「……なんでそうなるんだよ」
比屋定「自律戦闘艦は希望になるのかもしれない。戦争を終わらせ、全ての人と妖精を繋ぐ架け橋にも」
八雲「……」
比屋定「でもそれは、色んな奇跡が起きなければ実現しない。そもそも、彼女たちの自我が、人の幸福を願わなければ叶わない未来」
比屋定「セーフティとして誇りと愛情を植え付けられた彼女たちが学び、その偽りの自分と向き合った時にどんな悲しみを背負うのか」
比屋定「全てを知って尚、人でない彼女たちは人と共に生きる道を選ぶかしら?」
八雲「それは……」
比屋定「私だったら人間を憎んで全部壊しちゃうかもしれない」
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