57: ◆TPk5R1h7Ng[saga]
2016/06/26(日) 23:42:39.89 ID:JbMqKR0Io
●とむらい
光が収まり…周囲に再び宙の闇が訪れた頃……
俺達の瞳に映ったのは……
神風の一撃により、腹部を大きく抉り取られた虚獣の姿……
そう……それだけだった。
俺「嘘…だろ………?」
カライモン「目を逸らすな…現実だ」
俺の呟きに対して、言葉を返すカライモン。
だが…その声は、神風と言う媒体を介した意思の声では無く……
ハル「………体に直接…術式から音を響かせているようですね」
その仕組みを…正にこの瞬間、戦線に復帰したばかりの…ハルが読み解いてみせた。
ハル「私が…もっと早く戻って来れていれば………」
一見すると、ハルは淡々とした様子で語り続けているように見える……が、その実は真逆。
虚獣に…そして自分自身に対しての、怒りに燃える炎をその内に宿していた。
俺「ハルのせいじゃぁ無ぇよ…そんな事言ったら、その場に居ながら何も出来なかった…俺なんてどうなるんだよ!!」
カライモン「私も同じく…だが、その責を負ったとしても仕方が無い。今の私達に出来るのは…神風君の弔い合戦。いや………」
ユズ「意思を継いで………地球を守る事ッス!!」
俺「俺も…全く同意見だ。だが、どう言う手段で戦う?神風の未来予測が無くなって…相殺出来なくなった分、状況はさっきより悪くなってるよな?」
神風との衝突によりダメージを受け…今は静止している虚獣。だが…その風貌とは裏腹に、俺達に対する隙は微塵も無く……
下手に手を出せば、確実に返り討ちに逢う…それを確信するだけの威圧感を放っていた。
ユズ「それについては…アラクちゃんに頼むッス」
俺「アラクに…か?」
ユズ「地球の方で手一杯で、こっちに手を出す余裕は無かったみたいッスけど…それももう片付いたッスから」
俺「って、言っても……いや、そうか」
カライモン「世界の狭間での事…思い出したようだね。実際、ユズくんもそうして先の不意打ちを成功させた訳だ」
俺「狭間の世界…スピリットや虚獣が演算し切れる範囲から外れれば、予測は成り立たない…って事だよな」
カライモン「その通り。後は……いや、この問題は実際に直面するべきか」
辛うじて見出した打開策。だが…そこに落ちる、一筋の影。
カライモンは、言葉を紡ぎ切るなりその場から消え……次の瞬間には、虚獣の後ろに現れた。
完全に虚を突き、マイクロミサイルの束を打ち込んだ…かのように見えたのだが………
俺「―――っ……何でだ!何であれを避けられんだ!?完全に不意打ちだっただろ!??」
カライモン「あぁ、不意打ちだった…だが、その上で反応して避けた…対応されてしまった。他の攻撃に対しても同様だろう」
俺「そんな……だったらどうするんだ?!」
一歩前進したかと思えば、二歩後退。再び八方塞がりに陥りかけた、その時…
レミ「えっと、その事だけど……もしかしたらなんだけど、何とか出来るかも知れない」
未だ前線に戻る事が出来ないレミから、僅かな光明を届けられた。
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