35: ◆TPk5R1h7Ng[saga]
2016/06/21(火) 22:41:45.79 ID:sb64dYF/o
●ぶつかり
レミ『………って、え?何で宇宙空間なのに聞こえるの!?』
俺『しかも……鼓膜じゃなくて、骨伝導で直接響いてるな。ハル達にも聞こえてるのか?』
ハル『はい、私達にも聞こえています』
カライモン『これは恐らく…我々が魔力供給のため周囲の空間を取り込む際に、その内部に蓄積した振動を知覚しているのだろう』
俺『んな事、虚獣とどんだけ距離が………いや、やっぱ良い』
カライモン『…同意だ、下手な事を考えれば心が折れる。今後も極力スルーして戦う方が、気が楽になるだろうな』
神風『と…お話の途中ですみませんが………来ます。虚獣の攻撃です、避けて下さい!!』
目隠しながらも前向きに…辛うじて後ろ向きになる事だけは避けながらの前進。
交わしたやりとりで、脇道にそれてしまった俺達の意識を……神風の言葉が引き戻す。
俺『避ける…って言っても…………んなぁっ!?』
神風が叫んでから…実際には、1秒にも満たない間の事。
目視した限りでは、虚獣からの攻撃の素振りは確認出来ず…俺は、半ば疑念を持ちながらも神風の指示通りに回避行動を行った。
そして、その結果が…これ。俺のすぐ真横を、いや…ここに居る全員のすぐ真横を、光の束が突き抜けて行ったのだ。
俺『嘘だろ……今のって、ハルのと同じ光の魔法じゃ無いか!?』
ハル『結果的に同じ現象を引き起こしていますが…今のは魔法ではありません。あれは多分……』
カライモン『この虚獣が元より備え持っている、機構……それも、予備動作無しで発射可能な反則性能のようだな』
俺『マジかよ…冗談キツいぜ』
カライモン『…こればかりは嘆いていても仕方ない。加速空間や停滞空間はいざと言う時のために温存して……可能な限り神風君の空間掌握に頼ろう』
俺『……って訳だ。神風にばっか負担かけちまって悪ぃな』
神風『いえ、問題ありません。元より…この命、この世界を…皆さんを守るために使うつもりです』
俺『おいおい…縁起でも無い事言うんじゃ無ぇよ。それじゃぁ俺達が困るだろ?』
神風『…え?』
俺『神風…お前の命はお前のために使え。皆を守るのも良いが…何より、皆を守った後一緒に帰るために…な?』
神風『………………はい、そうですね。そうします』
神風は、満面の…屈託の無い笑顔で、力強く答えた。
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