21: ◆TPk5R1h7Ng[saga]
2016/06/20(月) 01:41:13.66 ID:m7uOCMAko
真っ黒な球体にその大半を飲み込まれ、今正にその全身を消失しようとしている……虚獣。
もがき苦しみ、暴れながら脱出を試みるが…それも無駄な足掻きに終わり、後は僅かな頭部を残すのみ。
………やっとの事で戦いが終わる。
攻撃方法を使い捨てにされるという、理不尽な条件の上でのギリギリの消耗戦。
そこに終止符が打たれる事になり…皆が皆、安堵する中……ほんの一瞬、瞬きしている間に…
僅かに残った虚獣の頭部は真っ黒な球体に飲み込まれて居た。
いや………違う。
俺「なっ――――!?」
瞬きしたほんの一瞬の間に、俺達の頭上へと現れた………虚獣の頭部。
俺達全員を包み込む程に大きく広げた嘴が、勢い良く左右から迫る。
俺『どうやってあの状態から脱出を……そうか!神風と同じ瞬間移動か!?』
ユズ『でも、瞬間移動が出来るなら何で今まで使って来なかったんッスか!?』
カライモン『結果論だが…至って単純な質量の問題だったのだろう。恐らく…だがね』
ユズ『えっ……』
カライモン『これも憶測だが、質量が多いほど時間がかかると言った所だろう。それも、一部分を切り離しての転送は出来無い…と言った所なのだろうが……」
俺『皮肉にも…あの真っ黒な球体のせいでその条件を満たしてしまったって事なんだろうな』
ハル『それは判りましたが…この状況は………』
俺『かなり不味い…な。加速空間にしろ停滞空間にしろ、残ってる力じゃ展開出来ない。ハルの方は………』
ハル『停滞空間を展開するにしてもライトブリンガーにならなければ…今のままでは全体を捉えるのは無理です。嘴の先を一瞬止める程度が関の山です』
俺『………だよなぁ…』
………万事休す。
先に話した通り…せめてもの足掻きとしてハルが停滞空間を形成し、嘴を止めるも大きな成果は無し。
再び動き出した頭部が、俺達をその嘴で噛み砕こうと迫り……俺の腕に食い込んだ瞬間―――――
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