171:名無しNIPPER[saga]
2016/05/20(金) 23:34:34.14 ID:ntvrM9VEo
「ここまで弱らされたのは初めてじゃがの――というか、退治、などというものがすでに
久しい……儂に挑もうなどと言う輩は久しぶりじゃった。むむむ。しかし、どうもボケて
いていかんな。時差ボケかのう」
「時差ボケって……」
そういう意味で使う言葉じゃないだろうに。
「ああ。そうだ――そういえばキスショット、どうしてきみはこんな田舎町に来てるんだ?」
そうだ。時差ボケと言えばそもそもキスショットはこの町の人間ではない。最近のうわさ、
だったはずだ。そもそも吸血鬼は西洋の妖怪、正しい意味で、キスショットは時差ボケ中
なのかもしれない。
キスショットがわざわざこの町に来た理由、すこし、興味がわいた。
しかし、ぼくのその期待は思い切り空振りだったみたいで、キスショットはあっさりと
「ん? 観光じゃよ」と何でもないことのように言った。
「富士山とか金閣寺とか見たくての」
いや、さすがに嘘だろ。ここ、富士山や金閣寺どころかなにもないし。
「戯言って血液感染とかするのかなあ」
不安になってきた。もちろん戯言だけど。
284Res/217.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20