157:名無しNIPPER[saga]
2016/05/20(金) 23:05:46.24 ID:ntvrM9VEo
「最期に、一つ、聞いてもらってもいいですか?」
「どうぞ、なんなりと」ギロチンカッターは促す。
「私も聖職者ですからね。どんな言葉も、聞きましょう」
そいつはありがたい。ぼくの戯言に、取り合ってくれるなんて。
「ギロチンカッターさん、あなた、さきほど、吸血鬼は許されざる存在だ、と仰っていま
したね」
「ええ。彼らは許されません。人を襲い、悪逆をなす。そしてなにより−−」
我々の教義に、反する存在だ。と、ギロチンカッターは言う。
「なるほど。それがあなたの信仰ですか。ならば、ギロチンカッターさん」
ほか二人の反応も伺いながら、ぼくは言う。
「生まれてから一度もその存在を認めてもらえなかった人間は、果たして人間である
と言えるのでしょうかね?」
わずかに、エピソードが反応したような気配が、右後方からした。
「……そんなことは、ありえません。人間である以上、生まれながらに神はあなたを
祝福している。あなたは、その存在を許されていましたよ」
「ああ、いえ、ぼくのことじゃないんです。知り合いにそういうのがいまして……まあ、
あまり深く考えなくていいですよ」
――ただの戯言ですからね。
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