158:名無しNIPPER[saga]
2016/05/20(金) 23:09:29.13 ID:ntvrM9VEo
狙いは、右後方、来た時から見て左側の道。さきほど反応を見せたエピソードだ。蹴り
砕いたアスファルトは、礫となってエピソードを襲いかかる。と言っても、これでダメージを
与えようというわけではない。相手はヴァンパイアハンター。こんな攻撃通用するはずも
ないだろう。砂かけくらいでしかないかもしれない。しかし、それでもよかった。ただ、この場
さえ凌げれば、目をくらまし、虚を突いた一瞬、その脇を通って逃げれる隙さえ作れれば、
それでいい。それでよかったのだが−−
「……あーあ」
振り返り、エピソードの方へ走ろうとして、やめる。夜目が効く吸血鬼の眼で、ぼくは
それが無駄なあがきに終わった様を見ることとなった。
蹴り砕いたアスファルトは、エピソードに礫となって降りかかる前に、粉と化し、霧散した。
本当に、ただの砂かけ、いや、届くまでに霧散したのだから、それ以下の行動だ。
エピソードが十字架で振り払ったというわけでもない。単純な話、ぼくがアスファルトを
蹴る力が強すぎたというだけだった。ただ、ぼくが力加減を見誤っただけ、戯言遣いに吸
血鬼の力は身に余っただけだ。ただそれだけの話。ぼくにふさわしい間抜けなラスト。
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