モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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9: ◆GPqSPFyVMNeP[sage]
2016/05/07(土) 09:59:31.57 ID:AfaEDJBVO

 まだ間に合う。怠惰の毒に身をゆだねてしまう前に、再び繋がりを取り戻すのだ! 洋子は手を伸ばす。
 だが、見よ。彼女の前方数十メートル、ヨタヨタと歩いてくる無数の人影……黒い泥の、半ば崩れたグロテスクな人型はカース。
 そして、おお、何たる凄惨な光景であろうか。身動きとれぬ洋子の周囲に次々と落着してはその肢体を黒い飛沫で汚す泥の塊もまた、ゾンビーめいて歪んだ人型に姿を変えた!

「ちょっとの時間も……くれるワケないかぁ……」

 伸ばした手に緑色がまとわりつき、力なく垂れ下がる。ヒノタマが遠ざかる……違う。洋子の意識が、怠惰の沼に沈まんとしているのだ。
 現実の彼女の肉体もまた黒い泥に覆われ、最後まで震えるように動いていた右手も、やがて見えなくなった。

「「「ア゛……ア゛ア゛ー……」」」

 ……BBLAMN! BLAMBLAMBLAM! 雷鳴じみた銃声。異変を察し近距離支援に移っていたエボニーコロモの、12.7ミリオートマチック二丁拳銃だ。
 だが、彼にカースの核を見抜く能力はない。洋子を飲み込んだ人型カースは、大口径重金属弾に消し飛ばされた泥の肉体をすぐさま再生させる!
 エボニーコロモは歯噛みした。広範囲に弾をバラまく非人道殺傷兵器もあるにはある。泥の肉体も核もお構いなしにすり潰すことができよう。……洋子を巻き添えにして。
 何らかのトラブルによりヒノタマの力が働いていない今の洋子は、傷口を焼き塞ぐことさえできまい。無差別広範囲攻撃は禁忌だ。ひたすら銃撃あるのみ!

「クソッ! 道を! あけろ!」

「「「ア゛ッ! ア゛バババーッ!」」」

 弾切れ。弾倉交換。発砲。弾切れ。弾倉交換。発砲。1体のカースが爆ぜ、黒い泥の小山と化したまま再生せず。幸運は二度続くか。発砲。弾切れ。弾倉交換。発砲。



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