モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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10: ◆GPqSPFyVMNeP[sage]
2016/05/07(土) 10:03:03.77 ID:AfaEDJBVO

 ……その瞬間に起こったことを、エボニーコロモは咄嗟に理解できなかった。

「GRRRRR!」

「「「ア゛ババババーッ!?」」」

 一瞬前まで気配すらなかった黒い影がゾンビーめいた人型カースの群れに飛び込み、うち数体を物言わぬ黒い泥に還し、包囲下にあった洋子を掴まえて放り投げたのだ!

「あうっ!?」

「オイッ!? 危なッ!」

 エボニーコロモは二丁拳銃を放り出し、洋子を受け止める。黒い何者かの姿は最早そこになし。

「プロデューサー! 下ろして! 離れてッ!」

 洋子が吠えた。虚空に突き出した手が何かを掴むように拳を握り、鮮血めいて艶やかな赤い炎に包まれた。ヒノタマとの再リンク。全身を熱が満たし、炎そのものに変える。
 怒れる炎の化身は山火事めいてカースの群れに襲いかかった。黒い乱入者の攻撃から運良く逃れたカースは、既に生命を失った同胞たる黒い泥もろとも白い灰と散った。

「うん、しっくりくる。フレアダンサーです……私にはもう、指一本触れられないよ」

 フレアダンサーは目と鼻の先にまで迫るカース群を、そしてその向こうにたたずみ、こちらを見つめる黒い巨大なヤギを見据え、静かに名乗った。
 巨大なヤギ……然り。いつ現れたのか、頭頂高は校舎の2階に届くかというほどの巨大ヤギの中には、藍色と桃色と緑色が満天の星空めいて散らばって見えた。
 このヤギカースこそ、おぞましき人型カースを生み出した主に違いない。洋子は直感的に理解した。
 睨み合いは一呼吸で終わり、ヤギカースは身を翻して走り去った。フレアダンサーの全身は再び炎と化した。色欲の人型カースが全て白い灰となり果てるまで、10秒とかからなかった。

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