モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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65: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/05/07(土) 20:00:22.54 ID:glNSs2qCo

 一際大きい杭打ちの音。
 それと同時に制止していた結晶山の裏から貫くように樹海の木が露出する。
 結晶山に大量に埋め込まれた樹木は、構造上の弱所を的確に貫いていた。



「『сонй сумеречный(眠れ、あの人の居た場所で)』」



 その言葉は一つのトリガーだ。
 馳せるは郷愁。語るは悲哀。
 彼自身の誓いの言葉にして、自縛の言葉。

 この言葉を聞いたものは、これまでに十指にも満たない。
 だが彼らはその散り際に、男のことをこう形容したのだ。

 『眠らぬ黄昏』と。

「…………ウソ」

 結晶山は崩壊を始める。
 夕焼けに似た色をした力場の渦が、あらゆる物質を塵に帰す。
 念動力によって捻じ曲げられた空間は光のスペクトルさえも屈折させ、僅かな帯域の可視光を残してすべてを消滅させている。
 通常の法則や概念からは置いて行かれた、もはや超能力とも呼べるのかともいう途方もない異能。

 夜空を彩るのが星ならば、自らはそれを導く黄昏となろう。
 その力は男の生涯を表し、何者でも及ばない外法の最果てであった。





   


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