モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
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51: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2016/05/07(土) 19:45:47.51 ID:glNSs2qCo

 その姿は百人が見れば満場一致で致命傷である。
 だが、それでも男は倒れない。
 並の致命傷ごときで、この男を致命に至らしめることなどはできない。

「結局のところ、人はお前が思っているほどに清いもんじゃあない。

生き汚くて、自らの欲望のままに食らい、厚顔無恥に跋扈する。

エゴの固まり、泥のような感情。そして誰もが求める幸福であろうとする心が、人だ」

 百人の常識であろうと、億人の基準であろうと、男は蹴り倒し我を主張する。
 自らが絶対的なルールだと信じて疑わず、誰よりも自らの行動に準ずるこの世で最も常識外れのその男。

「理想は既に地に堕ちてんだよ。

結局のところ、無知なお前にわかったように語られてるのが、俺は我慢ならなかったのさ。

馬鹿が他人を語るなよ。俺は『あの人』に『お前ら』を任されたからこそ、ここに居る。今までがある。

間違っても『あの人』とお前を重ねるな」

「ふざけ……ないで。

語るな……ワタシを……。

馬鹿にするな……ワタシの、苦しみを、憎しみを。

人はお前ほど!!!救えなくは、ない!!!!!」

 蝋の翼では飛翔はできない。
 硝子細工のその両翼は、遠くに飛んでいくにはあまりに淡い。

「己惚れるな。『あの人』を見てここに居るんじゃない。

『あの人』はもういないし、彼女に代わりなんていない。

だからこそ、俺は、『お前』を見てここに居る。馬鹿で無知な子供のために俺はここで血反吐吐きながら立っている。

そして、俺は俺の心で立っているだけだ。

お前の心など、想いなど俺は決して知りえることなどできるわけがない!!!」



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